チンコティーグの後で見る海
バージニアビーチは、同じ海を、別の速度で見せる。
バージニアビーチを理解するには、まずチンコティーグとの違いを認めるのがよい。チンコティーグは、低い湿地、静かな水路、アサティーグの灯台、遠くのポニー、牡蠣の塩で記憶に残る。観光地ではあるが、見せ方は控えめである。自然の都合に、旅人が合わせる島である。
バージニアビーチは違う。ここには、三マイルのボードウォークがあり、オーシャンフロントのホテルが並び、レストラン、バー、音楽、家族連れ、ランナー、自転車、サーファー、結婚式、会議旅行、週末旅行が一度に動いている。州公式観光は、オーシャンフロントと三マイルのボードウォークをバージニアビーチの中心として紹介し、四十ブロックにわたってホテル、レストラン、娯楽が海の眺めとともに続くと説明している。
しかし、バージニアビーチを「賑やかな海辺」とだけ考えると、この街の本当の幅を見落とす。オーシャンフロントの明るさの北には、ファーストランディング州立公園がある。そこには森、湿地、砂浜、二十マイルのトレイル、チェサピーク湾の浜辺がある。南にはサンドブリッジがあり、その先にはバックベイ国立野生生物保護区とフォールスケープ州立公園が続く。つまり、バージニアビーチは一つの顔ではない。大きな海辺の都市であり、同時に自然への入口でもある。
日本から来る旅人には、この分け方をすすめたい。初めてなら、オーシャンフロントでバージニアビーチらしい明るさを体験する。翌朝、ファーストランディングへ行く。さらに静けさを求めるなら、サンドブリッジとバックベイへ向かう。夜は海鮮を食べ、朝は海を歩く。都市の便利さと自然の距離を、自分の旅の目的に合わせて選ぶ。そうすれば、バージニアビーチは単なるビーチリゾートではなく、非常に使い方の広い海辺の拠点になる。
オーシャンフロントに泊まる価値は、時間を海に近づけられることにある。朝、部屋を出てすぐ海へ行ける。夕方、食事の前にボードウォークを歩ける。夜、車を出さずに宿へ戻れる。とくに初めてのバージニアビーチでは、海の近くに泊まることで旅がわかりやすくなる。
ヒルトン・バージニアビーチ・オーシャンフロントは、アトランティック・アベニュー三〇〇一番地にあり、電話は七五七・二一三・三〇〇〇と公式に案内されている。ザ・キャバリアーのような歴史と上質感を持つ宿もあれば、モクシー・バージニアビーチ・オーシャンフロントのように、若く軽快な空気を持つ宿もある。宿を選ぶ時は、海の眺めだけでなく、どの地区で夜を過ごしたいかを考えたい。
食事では、ウォーターマンズ・サーフサイド・グリルのようなオーシャンフロントの定番がわかりやすい。公式情報では一九八一年から続く店として紹介され、海辺の食事、海鮮、名物のオレンジクラッシュで知られる。ドック・テイラーズのように、古い家を利用した朝食・昼食の店もある。バージニアビーチでは、食事も朝、昼、夜で表情を変える。
サンドブリッジでは、宿泊の考え方も変わる。オーシャンフロントのようにホテルが密集しているわけではなく、貸別荘やコンドミニアム型の滞在が中心になる。家族やグループで、キッチンのある滞在先を取り、朝は浜辺、昼は家で休み、夕方はまた海へ出る。そういう使い方が似合う。
サンドブリッジは、バージニアビーチの中にありながら、都市のビーチとは違う。夜遅くまで人が流れる場所ではなく、自然と住宅地のあいだにある。だから、訪れる側にも静かな態度が必要になる。貸別荘の周りには住民がいる。浜辺には自然がある。バックベイへ近づくほど、観光の音量を下げたい。
食事では、マージー・アンド・レイズ・クラブハウスやシンプリー・スチームドのような南側の食の選択肢を組み合わせたい。海鮮、蒸し料理、家族向けの食事。ボードウォークの華やかさではなく、浜辺の休暇としての食事になる。
野生へ戻る南端
バックベイへ行くと、バージニアビーチは自然の顔に戻る。
バックベイ国立野生生物保護区は、サンドブリッジの南端、サンドパイパー・ロードの先にある。公式情報では、ビジターセンターとトレイルはサンドパイパー・ロード四〇〇五番地にあり、電話は七五七・三〇一・七三二九と案内されている。ここは、バージニアビーチのにぎやかなイメージを大きく変える場所である。
バックベイでは、海辺の都市は一度消える。湿地、水路、鳥、砂丘、野生生物が前に出る。写真を撮るために急ぐより、歩く、見る、静かにすることが大切になる。さらに奥にはフォールスケープ州立公園があり、アクセスも簡単ではないため、軽い観光気分ではなく、自然の条件を確認して向かう必要がある。
バージニアビーチの魅力は、この幅にある。朝はホテルの前で海を見る。昼はボードウォークを歩く。翌日は森へ行く。さらに南へ行けば、バックベイの湿地がある。つまり、バージニアビーチは単なるリゾートではない。都市の海辺と野生の境界を、一つの市内で体験できる場所である。
季節と注意
バージニアビーチは、季節で旅の性格が変わる。
夏は、海辺の都市として最も明るい季節である。ホテル、レストラン、ボードウォーク、浜辺がにぎわう。一方で、料金、混雑、駐車、レストランの待ち時間も大きくなる。宿と食事は早めに考えたい。
春と秋は、バージニアビーチを深く見るのに向く。ファーストランディングの散策、ボードウォークの朝、サンドブリッジの静けさが心地よい。海水浴だけが目的でなければ、この季節は非常に良い。
冬は、海辺の華やかさは少し落ち着くが、宿の選択肢や静かな散歩には価値がある。風が強い日もあるため、屋内の食事や水族館、スパのある宿などを組み合わせたい。
自然の場所では、必ず公式情報を確認したい。ファーストランディング、バックベイ、サンドブリッジ、フォールスケープは、天候、開閉、駐車、季節条件が旅に影響する。都市のビーチでありながら、自然の場所でもある。その二面性を忘れないことが、バージニアビーチを上手に楽しむこつである。